心の風景帳

毎日歩くコースを少しずつ変えていきながら、周辺の状況を把握していきましょう。
昔から生まれ育った場所でも、いざ歩き始めてみると全く知らなかった風景に出会ったりするものです。
辻の角々で、曲がる方向を変えていくだけで歩くコースはどんどん増えていきます。
懐かしい風景に出会ったり、素敵なお店を見つけたり、たくさんの発見があります。
少しずつ全体の地図を頭の中に組み立てていきましょう。
これは、今後のプログラムを行っていくうえでとても大切な準備となります。
こうして、頭の中に記憶したものを、これから「心の風景帳」と呼んでいきます。



「心の風景帳」には、この道を行くと、坂道があるとか、大きなショッピングセンターがあるとか、地形や建物などさまざまなコースの情報を記憶していきます。
そしてもうひとつ記憶していっていただきたいことがあります。
それは、距離感です。正確に測るのではありません。
あらかじめご自分の歩幅の長さを測っておいて、大体の距離感をつかみながら歩きます。毎日目標物を決めて大体の距離を測る訓練を続けてみてください。
少しずつ感覚が養われてきます。

この訓練は、初めての土地を歩いたり、トレッキングなど自然のなかで歩く際に大変役に立ちます。
感覚的な訓練ですのでなかなか説明が難しいのですが、毎日心がけていると確実に身についてくるものです。



慣れてくると「心の風景帳」には、もっといろんなことを書き込みたくなってきます。
季節ごとに違ってくる温度や湿度、風の方向や強さ。肌で感じるものから、音、匂いなど五感がだんだん研ぎ澄まされてくるからです。
考えてみれば昔の人は、いつもこうした感覚を持ちながら歩いていたのではないでしょうか?
自然にふれていると便利な世の中になっていつのまにか忘れてしまった感覚が取り戻されてきます。
寒い季節は、風をよけながら歩くコース。日差しの強い暑い日は、日陰の多いコース。
「心の風景帳」をパラパラッとめくるだけで、その日の天候や気候あわせたウォーキングコースを自在に組み立てていけるようになります。